英国の教育学会と2b―
イギリスの教育関係の学会に、学友とともに初めて参加したのは、1992年のことである。
当時の私は、海外の学会事情など、まったく知らなかった。いま思うと勇敢にも参加したものだと思う。イングランド北部のヨーク大学で開催された比較国際教育学会であった。
その後、私はイギリスで開催される学会に意識的に参加してきた。日本人の学者・研究者も少数とはいえ毎回参加しているのであるが、そのほとんどは「聞くだけ」で「発表」する人は例外的である。何年か続けて参加しているうちに、「日本人は参加するだけで、発表しない。積極的に発表すべきだ。」との声を学会関係者から聞くようになった。
それならば、「隗より始めよ」ということで、1999年から2012年まで私は、ほぼ毎年イギリスなどで開催される学会に参加し、積極的に発表するようにしてきた。「輸入」ばかりで「輸出」が少ない、といわれるので、教育基本法改正問題など日本の教育事情を積極的に紹介したのである。
バーミンガム大学で学会が2005年に開催された帰途、バーミンガム・ニュー・ストリート駅(中央駅)は、人ごみの中にあった。列車の運行が乱れており、何番ホームに列車が到着するのか分からないのである(列車の到着ホームは、イギリスの大きな駅の場合、日本のように前もって固定的に決められているのではなく、到着直前に電光掲示板によって知らされる)。確か3番ホームで待っていた際に、列車の到着ホームが突然変更となり、「2番線のbホーム」との案内アナウンスが流れた。急いで、ロンドン大学の教授たちとともに「2b」ホームに向かった。そのとき、私はシェークスピアの言葉を思い出し、「2b or not 2b that is the question」(To be or not to be : that is the question) と発したところ大きな笑いを獲得したのである。英語をあやつることが不自由な私が、英国人を笑わせた珍しい事例でした。